[結果発表] 第二回イクボス充実度アンケート調査

【イキマネコラムvol.26】全体像を説明する手間を省かないことがいい仕事につながる

[公開日] [最終更新日]2020/07/09

全体像を説明する手間を省かないことがいい仕事につながる

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




私は日常的に多くの女性たちとプロジェクトを動かしていますが、彼女たちに指示を出す際にいつも気をつけていることがあります。それをすることで彼女たちのモチベーションがグッと上がりますから、ぜひ活用してください。

それは、指示を出す時に必ず全体像を見せること。

上司はつい、これからやってもらいたい「部分」だけを差し出して命令しがちです。その方が効率がよいからです。

でも、これだと女性たちのヤル気が起きません。なぜなら、自分のこれからやる業務が、どこでどんな風にお役に立つのかが見えないからです。「言われたことだけやっておこう」と思考停止になるのは本人のせいではありません。

以前、女性は「チーム貢献」がモチベーションに繋がる傾向が大きいという話をしました。

🔗【イキマネコラムvol.21】女性の仕事に対するモチベーションは男性と違う

 

これから取り組む業務が、どんなプロジェクトのどんな部分であり、それをすることで誰が喜ぶのか、どんな貢献ができるのかが見えてくると、がぜん頑張れるのです。

そして時には、「もっとこんな風にした方がいいのではないか」と期待値以上の改善提案をして来たりと、取り組む姿勢も向上していきます。

女性は、具体的に細かく物事を見ることが得意ですので、全体の中での立ち位置が把握できれば、より具体的に自身の業務を想像することができ、細かい改善点が見えてくるのです。

まさに猫の目ですね。

🔗【イキマネコラムvol.12】「猫の目」を上手に活かせる企業が生き残る!?

 

このようなことを繰り返していると、モチベーションだけでなく成長のスピードも上がっていきますのでぜひお試しください。

急いでいる時や、途中から入ったメンバーに最初から説明するのは正直めんどうだと思う時もあります。でも、これを怠った場合とそうでなかった場合とのクオリティの差は歴然です。

丁寧な説明は、部下の理解を深めるだけでなく、上司の期待値の高さを感じ取ってくれ(そうでもない、という時も)、それがまたピグマリオン効果ももたらすのです。

🔗【イキマネコラムvol.15】女性の活躍を後押しする『ピグマリオン効果』

 

ここで、ひとつだけ心得ておいていただきたいことがあります。

それは、女性たちが真剣に仕事に向かうからこそ出てくる提案が、時々『余計なお世話』なことがあることです。自分のテリトリーを超えていたり、今さらどうしようもないことだったりすることはよくあります。

そんな時に「口出しするな」とか「余計な事言わなくていい」などと否定することだけはやめてください。一気にモチベーションが下がってしまいます。

男性だったら「わざわざそんな余計なことは言わないでおく」ことも、女性は思いついたら言ってしまいます。それはテリトリー意識が弱いことや、全体をよくしたいという母性本能とも関係しています。

ですから私はいつも、「そうだね、考えてみるね」と言って受け取っておきます。その提案を採用するかしないかは、上司であるこちらの采配ですし、その中からキラリと光る原石を見つけることも、上司の腕の見せ所です。

予定調和の中では決して生まれない鉱脈を発見するかもしれないことが、女性たちと仕事をする時の醍醐味です。

 

👉今回のPOINT

1.指示を出す時には必ず全体像を見せる
2.丁寧な説明が仕事のクォリティを上げる
3.余計な提案も否定せずにいったん受容する

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。