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【イキマネコラムvol.15】女性の活躍を後押しする『ピグマリオン効果』

[公開日] [最終更新日]2020/07/09

【イキマネコラムvol.15】女性の活躍を後押しする『ピグマリオン効果』

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




ある女性社員から聞いた話です。

「部門から誰か代表で本社に出張するようなとき、いつも男性が優先的に選ばれるので、自分は出張する機会に恵まれない」と。同期の中で1人だけ、のようなときも、たいてい男性が選ばれるのだそうです。

 

もちろん人選する側は「代表=男性」と、とくに深く考えているわけではないのでしょうが、無意識にバイアスがかかっている場合は案外多いのではないでしょうか。

このようなバイアスが積み重なることによって、ついつい男性の方が重要なことを任されることが多くなり、結果女性の成長の機会が奪われてしまうことになります。

逆に「大変なお客様からのクレーム処理」のとき、「女性に行かせるのはかわいそうなんじゃないか」と配慮してしまうことも、女性が経験を積めなくなる理由です。

 

「女性活躍といっても、うちにはリーダーになるような器の女性はいない」と考えているかも知れませんが、それは女性たちに成長する機会を与えてこなかっただけかも知れません。

また、女性側も期待されていないと感じることで、成長することをやめているかも知れないのです。

🔗【イキマネコラムvol.6】「今一つ物足りない…」女性が自ら積極的に動くためにはどうすればよいか?

 

ところで『ピグマリオン効果』という言葉をご存知でしょうか?

ピグマリオン効果とは、自分が他者から期待されていると感じることで、パフォーマンスが向上する心理現象のことです。女性たちも上司から期待されれば、それに応えようと努力し成長するはずです。

今後何か人選をするときに、無意識のバイアスという偏見がないかどうか、本当に個人の能力だけを見ているのか、少し立ち止まってみてください。そして、女性にもいろんなチャンスを与えてあげて欲しいのです。

 

もちろん、女性とひとくちに言ってもキャリアに対する考えは人それぞれです。

「育児中で大変だろう」と思って、負担の軽い仕事を与えることが「ありがたい」と思う人と、「周囲から置いて行かれそうで不安」と思う人がいます。

女性だからとひとくくりに考えるのではなく、個々人に合った対応が求められます。

 

スポーツの世界ではこんなピグマリオン効果の事例があります。

サッカーJ2で成績も低迷していたVファーレン長崎は、2017年にジャパネットたかたの創業者高田明さんを社長に迎えました。高田社長の熱意と努力で観客数が一気に倍増すると、なんとチームの成績もどんどん上がっていき、次の年にはクラブ始まって以来のJ1昇格を果たしました。

 

野球界でも似たようなことが起きています。

万年Bクラスだった広島カープは、『カープ女子』が話題になった2013年ごろからチームの成績は年々上がり、ついには3年連続リーグ優勝をしています。

女性ファンというのは、チーム全体というよりも選手個人を応援することが多いので、期待されている選手たちのピグマリオン効果も絶大のようです。

いかがでしょうか?『ピグマリオン効果』ぜひ体感してみてください。

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。