[結果発表] 第二回イクボス充実度アンケート調査

【イキマネコラムvol.68】読者からの質問「女性管理職○%の数字に意味があるのでしょうか?」

[公開日] [最終更新日]2022/06/30

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




嬉しいことに、読者の方から質問をいただきました。せっかくなのでここで回答させていただこうと思います。

世の中の風潮として「うちは女性管理職の割合を○%に増やす」と掲げている企業が増えていて、人材の奪い合い合戦になっているように感じます。一概に高い数字の会社ほどいい会社とも言えないのにと違和感を覚えます。女性活躍の数字の罠とも言えるこのような現象についてどうお考えですか?

まず、「女性管理職の割合を○%に増やす」と宣言することは、風潮ではなく国の法律で定められていることをご認識ください。

2016年に施行された「女性活躍推進法」という法律で、従業員が101人以上の企業は必ず宣言するよう義務化されています。101人以上の企業が義務化されたのは、つい先日の2022年4月からで、それ以前は301人以上の企業のみに課せられていました。

「一概に高い数字の会社ほどいい会社とも言えないのに違和感」とのこと、お気持ちは大変よく分かります。

ただ、世の中に変化をもたらすためには、ある程度の強制力が必要と考えます。今はまだ変化の途中ですので、仰るような”本当に必要な会社とそうでない会社”を仕分けることに手間をかけていられないのが現状です。優先順位としては、まず目標値を掲げてそれを達成するために行動するという今のやり方に私は賛成です。

本当は国が○%と設定してもいいくらいで、各企業が自身で「△%」と決めている現状は甘すぎるとさえ思います。2016年の施行時、安倍総理は2020年までに30%にしようと息巻いていたのに、結果半分にも届きませんでした。
通常管理職とは決裁権を持つ課長以上を指しますから、30%の目標に対して2020年の時点では12%ほどです。

女性管理職を増やす今の現状は、例えるならこんなことでしょうか。

新しく学校を作ったとします。「世界に共通する超優秀な人材を育成するため、偏差値は70以上でないと入学させてはならない」と理想を掲げたとします。募集を始めてもなかなか学生は集まりません。せめて半数は集めないと学校を開校すること自体が危ぶまれるとします。そんな時「偏差値が少々低くてもいいからまずは人数を集めろ」となりますよね。まずは学校を開校することが先決です。

今はこんな状態ではないでしょうか。無事開校できれば、先生や授業のブラッシュアップや運営の効率化などの改善を繰り返し、学生のレベルアップという理想に向かって整えていくこともできるのですが、このまま開校できなければ理想もへったくれもありません。

人間は何も刺激されなければ、なるべく変化したくない動物です。現状維持が一番ラクですから。女性が活躍することで、現在の停滞した日本の空気に新風を吹き込みたいとは誰もがうっすら感じてはいるはずです。ただ、その空気だけでは人は動きません。頭では理解しても、誰かが動いてくれたらラッキーであり、なるべく自分はラクでいたいのです。法律で決められているから仕方なく動くとなっている現状でも、動かないよりましだと思います。

いかがでしょうか。納得していただけたでしょうか。

 

そもそも「そうまでしてナゼ女性管理職者を増やさないといけないのか」についてはこちらをどうぞ

🔗【イキマネコラムvol.50】「女性活躍推進」の意義について改めて考える
🔗【イキマネコラムvol.64】女性役員がいないことが企業のリスクを高める時代

 

👉今回のPOINT

1.  女性管理職者○%と掲げることは法律で義務化されている
2. 女性管理職者を増やすことは国の命題
3. 優先順位はまず数を増やすことであり、整備するのはその次の段階

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。