[結果発表] 第二回イクボス充実度アンケート調査

【イキマネコラムvol.64】女性役員がいないことが企業のリスクを高める時代

[公開日] [最終更新日]2022/05/14

【イキマネコラムvol.55】女性活躍推進は男性の働き方改革とセット

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




このコラムは、女性のマネジメントについてお伝えしているものですが、今回はその手前の「女性活躍推進」のそもそもの必要性についてお伝えしようと思います。

女性が活躍していない企業のリスクとはどんなものなのか。それは、経営に多様な視点が入って来ないため、時代の変化についていけなくなり、社会から支持されなくなるというものです。

最近ネット上で大炎上した「日経新聞の全面広告・月曜日のたわわ」についてご存知でしょうか。

講談社の漫画の新刊をPRする広告でしたが、その漫画というのが成人男性向けの性的な表現を含むもの。広告の絵面は、女性だけでなく娘を持つ男性にとっても不安な気持ちにさせる内容でした。

今回指摘したい大きな問題点は3つ。ひとつは日経新聞というあらゆる属性の人が読む全国紙に掲載されたことです。偏った読者を持つ専門メディアならともかく、女性の読者も多い経済新聞に載ったことで、気分を害した人も多かったこと(私も驚きました)。

それに加えて、女子高生への性的な虐待を描く漫画に対して、ジャーナリズムが肯定したと取られるところです。大手メディアがこれを良しとしたのかという、いわばお墨付きを与えたことです。

もうひとつは、企業姿勢の浅さが暴露されたことです。日経新聞といえば「日経ウーマン」というメディアも持ち、さらには広告のジェンダー平等化の旗振り役でもあります。そのような立場にあるにも関わらず、自らジェンダーを助長するような事件を起こしてしまうとなる、口先だけだったのかと思われても仕方ありません。

さてここで疑問なのは、社内で事前に止められなかったのかということです。

私の周囲の女性たちの100%が「こんな広告見たくない」「気持ち悪い」「やめてほしい」と言っています。日経新聞の社員の中にも女性はいるはずなのですが、その声が上がらなかったのが不思議です。さらに、メディアは掲載する広告について必ず審査をします。倫理や社会通念に抵触していないかどうかは、厳しくチェック(考査)が行われるはずなのにです。

女性たちの意見が出なかったのか、それとも言えなかったのか、考査がなおざりにされる職場環境なのか。。多様な意見を取り入れないために起きたこの事件の代償は非常に大きなものです。

日経新聞には女性の役員はいません。非常勤で1名いらっしゃいますが社会取締役でお飾りなのでしょう。そもそも女性社員が少ないので管理職者も恐らく少ないと思われます。対等に意見が言える立場に女性がいれば、もしくは発言するための心理的安全性が担保できていれば、今回のリスクは回避できたのではと思うのです。


ちなみにマーケティングの世界では、新聞とテレビを合わせて「オールドメディア」と呼んでいます。このオールドメディアの代表格のテレビ業界を見てみると、そのリスクの大きさが分かります。

こちらは全てのテレビ番組でジェンダー比率を調べたものです。


出演者のうち女性は20代が圧倒的に多く年齢が上がるにつれ減っていくのに対して、男性は40代が最も多く次は30代、50代となり、あきらかに偏っています。

またこの後に行った別の調査では、「テレビに登場する男女の取り上げ方や描き方に違和感があるか」という問いに対して、40~60代は「ない」が7割なのですが、10代20代は半数が「ある」と回答しています。

若者のテレビ離れは、ハードや時間の問題だけではないようです。こんな風に、ジェンダー平等を取り入れられない業界はどんどん支持を失っていくのではないでしょうか。

そのためにも、まずは女性の活躍に本気で取り組む必要があるのです。

もう一度おさらいしてください。

🔗参照:【イキマネコラムvol.50】「女性活躍推進」の意義について改めて考える

 

👉今回のPOINT

1.女性が活躍できない組織は存続の危機に陥る
2.多様な視点を取り入れることが時代の流れ
3.女性活躍推進は経営戦略

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。