『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。
女性の管理職を増やしたいと、女性社員にリーダー研修を受けさせている企業は多いと思います。彼女たちの意識改革は進んでいますでしょうか?
もし、なかなか効果が出ないのであれば、もうひとつやるべきことがあるようです。
それは、風土改革です。
女性が管理職になりたがらない理由は様々ですが、すべては「今の管理職が大変そうに見える」ことから来ています。管理職の在り方自体に女性たちは魅力を感じないのです。管理職になると報酬が増える、地位が上がるなどのスペックも、彼女たちのモチベーションアップにはあまり繋がりません。
新入社員の時は管理職になりたいと希望に燃えていた女性社員が、2年目には早くもトーンダウンしてその割合が3割も減っていることからも、風土の問題が見えてきます。
🔗参照:【イキマネコラムvol.38】女性は「2年目」で昇進意欲を失う
これでは、いくら女性社員ばかり意識改革させようとしても、難しいのは明白です。
風土改革は最も難しい問題で一朝一夕に変化できるものではありません。けれども、そこに手を付けることで、今の時代を乗り切るためのイノベーションが起きる柔軟な組織になれるのだとしたら、女性のためだけでなく取り組む価値があるのではないでしょうか。
実は、イノベーションの起きる組織と女性が活躍できる組織の間には相関関係が見て取れます。その理由は次の3つです。
ひとつめは「多様性があること」。新しい視点や意見で化学反応が起きます。そして女性は多様性の最も身近で大きなカテゴリーです。
ふたつめは「心理的安全性があること」。相手の意見を傾聴する、共感することは女性が非常に得意とするところです。男性が陥りがちなヒエラルキーの中では、つい年長者が若年者の意見を否定しがちです。誰もが発言できる雰囲気づくりに女性の価値観はとても役立ちます。
三つめは「GoodCycleができやすいこと」です。米グーグルの組織を使ってのある研究では、成果の上がる組織とそうでない組織を比較したときに、成果の上がる組織というのは、関係性の質がとても高いという結果が出たそうです。つまりお互いを尊重し対話を重ね、お互いを助け合うことが大切だというのですが、これも女性が非常に得意とするところです。
実は若い男性のマネジメントも、この女性的とも見えるコミュニケーションが非常に向いています。つまり、ヒエラルキー型では男女ともに育たないのです。
🔗参照:【イキマネコラムvol.3】リーダーシップはコーチ・イルカ型
もちろん、女性が活躍するから風土が変わるということもあります。卵が先か鶏が先か、まず御社が手を付けやすい方から、とにかく一歩進んでみてください。
👉今回のPOINT
1.女性管理職を増やしたいなら研修だけでなく風土改革を
2.女性が活躍する組織はイノベーションも起きやすい
3.ヒエラルキー型では男女ともに育たない
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このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。
そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。
<阿部博美・プロフィール>
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。
自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。