『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。
女性活躍推進法ができてから、何度か聞かれたことがあります。
「“女性活躍”という言葉にとても違和感があります。生き生きと活躍している女性は周囲にたくさんいるのに、なぜ今さらそう言われるのでしょうか?」と。聞いてくるのはほぼ女性です。
先にお伝えしておきますが、回答は「必要」です。
理由を改めてお話します。
女性活躍に違和感を持つその気持ちは、よくわかります。実は私自身も永らくそう思っていましたので。ただし独身の間は。前述の質問をしてくる女性もみな独身です。
入社してしばらくの間、男女の差を感じることはほとんどありません。それは、健康で24時間戦える、つまり制約が何もないからです。この「24時間戦える」体制は、男性の場合退職するまで半永久的に続きますが、女性の場合、出産や育児で中断されることが多くあります。
制約のある人であっても、見捨てることなく、その人に合った働き方が選択できる世の中になること、これが「女性活躍」の本来目指していることです。
ところで、独身は男女関係なく「24時間戦える」と言いましたが、それは本当でしょうか。女性の中にはPMSを抱えている人も多くいます。
※PMSについては以前の記事(女性は制御不能なPMS爆弾を抱えていることを正しく知ってほしい)を参照ください
「24時間戦える」がデフォルトになっているので、どんなに辛くても「健康なフリ」をしている人はたくさんいるはずです。無意識のうちに「健康なフリをすることが当然」と思っているだけなのです。
それは男性でも同じことです。実は病気を抱えているのに「健康なフリ」をしている人もいるのではないでしょうか。
他にも、家族が病気を抱えている人、不妊治療をしている人、様々に制約のある人が「24時間戦えるフリ」をして無理をしているのではないでしょうか。
たとえ職場の人に伝えていたとしても、常に「戦力にならずに申し訳ない」と思いながら仕事をしているとしたら、個人にとっても、もちろん組織にとっても非常に不幸なことです。
「女性活躍推進」は、母数が圧倒的に多くてわかりやすい女性をターゲットにして、働き方の多様性を創造することです。戦力になる形はたったひとつではなく、色んな戦力の形があるんだということをデフォルトにすることです。
多くの選択肢を増やすことは、女性だけのためではなく、男女関係なく多くの人を救うことにもなるのです。
「女性活躍推進」が必要か?という質問がいかに愚問かということ、お分かりになりましたか?
👉今回のPOINT
1.「健康で24時間戦える」ことがデフォルトの組織では不幸になる
2.「女性活躍推進」は女性だけのためではない
3.戦力の形には様々あることが普通の世の中へ
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このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。
そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。
<阿部博美・プロフィール>
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。
自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。