[結果発表] 第二回イクボス充実度アンケート調査

【イキマネコラムvol.20】女性が正しく失敗を受け止められるためにはどう叱るべきか

[公開日] [最終更新日]2020/07/09

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




女性部下への対応で、多くの上司が難しいと感じるのが「叱り方」ではないでしょうか。ちょっと注意しただけで落ち込んでしまったりふてくされてしまったりと、感情的になることに辟易した経験はありませんか?

そこには、失敗を内在化しやすいという女性の特有の資質があります。まずはそこを理解して対応策を考えましょう。

 

興味深い一文があります。

成功できないと悟った男性は、それを不公平な競争(相手チームが反則した、テストが難しかった、道路が凍っていた、など)といった外的な要因のせいにすることは、多くの研究の示すところだ。これに対して女性は一般に、自分自身に原因を求める(もっと頑張るべきだった、勉強する範囲を間違えた、不注意だった、など)。これらの研究では、女性は失敗を内在化することが多い一方で、成功したのは外的要因のせいだと考える場合が多いことが明らかになっている。
※スーザン・ピンカー著『なぜ女は昇進を拒むのか』より

 

つまり、失敗したのは「自分に能力がなかったから」「もっと○○しておけばよかった」などと感じて自信を失ってしまいます。上司は仕事上のミスを注意しただけなのに、自分自身を否定されたように感じるのです。このダメージは想像以上に大きいので、看過するわけにはいきません。

だからといって、ここで「仕事だから割り切れ」という言葉は全く効果はありません。割り切れないから本人も困っているのです。

 

この場合のコツは、まず「あなたの人格否定をしているわけではない」ということに気づかせることです。自分自身から目を逸らし、失敗の原因とリカバリーにフォーカスするような伝え方ができればOKです。

①「失敗の原因は何だったのかな?」
②「どんなリカバリーしたらいいと思う?」

コーチング形式(イルカ型)で質問し、自分で考えさせることが一番です。「あ、私の人格が否定されているんじゃないんだな」と冷静に考えることができるようになります。

ミスはミスとして指摘しつつも、一歩先へ進めるように仕向けるのが上司の腕の見せ所です。男性のように叱りっ放しではなく、その後の精神的ダメージから立ち直るまでが「叱ること」だと認識しておいてください。

🔗参照:【イキマネコラムvol.3】「部下が全員女性。仕事をする上で苦労している」という経営者の悩み

 

ますます女性を叱りにくくなりましたか?

まあそう思わずに、失敗は成長のチャンスだと思って愛を持って叱ってあげてください。ここで叱るのを躊躇してしまうと、女性の成長機会を奪ってしまいます。それが積み重なって、数年後には男性との差が大きく開いていしまうことにもなります。

男性と同様に成長してもらうためにも、正しく失敗を受け止められるように正しく叱ってください。

 

人間はすぐに慣れる動物です。女性部下もずっとこの状態を繰り返すわけではありません。叱られ慣れてくれば、そのうちちゃんと図々しくなりますのでご安心ください。

 

👉今回のPOINT

1. 女性は失敗を内在化しがちであると認識
2. 失敗の原因とリカバリーにフォーカスする声掛け
3. 成長のため、きちんと叱る&ダメージから立ち直らせる

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。