『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。
いよいよ我が社にも女性管理職第1号が誕生した。どんな活躍をしてくれるのかと期待していたのに、1年も経たないうちに辞めてしまった。やっぱり女性には無理なのか・・・・
ちょ、ちょっと待ってください。それは恐らく彼女が孤独だったことが原因です。
職場で「紅一点」となってしまった女性は、その人個人というよりも全女性を代表する「トークン(象徴)」として扱われ、孤独や自己疎外、プレッシャーを感じてしまうと、ハーバード大学ロザベス・モス・カンター氏は論じています。
よくあるパターンがこんな感じではないでしょうか。
男性だらけの集団の中にぽつんと女性が入り込むことによって、その女性は否応なく注目の的となる。しかも彼女のふるまい(特に失敗)は、異質な驚きを持って見られることも多く、「男性では決してありえない」などと陰口をたたかれる。
トークンとならざるを得ない女性は、あえて女性性を消して男化しようとしますが、それが女性部下たちの反感を買うようになる。
それを見ていた男性たちから、今度は「彼女はか弱い女性部下に冷たい」というレッテルを貼り付けられ、どんどん孤立していく。
結局彼女は、一度も「個人」として見られることはなく、自分らしさを発揮することができずに潰れていく。。。
よく見る光景ではありませんか?
しかも、男性たちはこれまで、自分たちは一枚岩だなどと思ってもいなかったのに、急に自分たち男性の集団を意識するようになり、その集団意識とともにvs女性の構図が出来上がることも多いのです。(国が平和でない時に、外国への不満で国民が一致団結するのと似てますね)
また反対に、トークンとなった女性が非常にうまく職務をこなしたとすると、今度は「例外」としてしか評価されずに、女性全体に対する偏見を排除するようなことになかなか発展しません。
結論を言えば、「女性初の〇〇」となった時、できれば複数人登場させてほしいのです。とにかく女性にはロールモデルが少ないので、同じ立場で共感できる相手が必要です。
その立場になったからこそ見える景色や悩みなどを相談できる相手がいるかいないかで、パフォーマンスは大きく違ってきます。
また、トークンとしての注目度も複数人いれば分散されます。AさんとBさんの性格や取り組み方が違えば、それは女性代表ではなくなっていきます。そうなって初めて、個人の本当の能力を発揮することができ、組織にも貢献することができるのです。
初めての女性管理職者を誕生させる時は、2人ないしは3人同時が鉄則です。
ところで私自身が会社員時代は、社内で唯一の女性管理職であり、唯一の女性営業であり、唯一の女性既婚者でした。が、特にプレッシャーを感じることもなく伸び伸びと仕事させてもらえてましたので、我ながら希少性動物だったんだなと、今さらながら感じています。鉄則は絶対ではありません。
👉今回のPOINT
- 「女性初の〇〇」はできるだけ複数人誕生させる
- トークンではなくその人個人として見る
- 女性にはロールモデルが少ないことを理解する
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このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。
そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。
<阿部博美・プロフィール>

株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。
自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。