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【イキマネコラムvol.43】女性にしかないタイムリミットを知っておくべき

[公開日] [最終更新日]2021/05/14

【イキマネコラムvol.43】女性にしかないタイムリミットを知っておくべき

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




先日雑誌でたまたま目にした一般女性の発言に、思わず頭を抱えてしまいました。それは、彼女のキャリアプランに関する内容でした。

結婚したら二度と恋愛できないし、仕事でチャレンジしにくくなる。だから、結婚は35歳以降でいいし、40歳で子どもを産むくらいがちょうどいい。ずっとそう思っていました。

さて、いったいどこに問題があるのかお分かりですか?
この問題を正しく認識し、女性のキャリアプランや働き方への理解を深めていただきたいと思います。

「仕事でチャレンジしにくくなる」から35歳まで結婚しないというのは、結婚したら自由が利かなくなり(その考え自体も問題ですが)残業などできなくなるから、戦線離脱してしまうという危機感でしょう。そうであれば、残業=出世という少々ブラックな職場ではないでしょうか。また、産休・育休をとると、戻ってくる場所はなく戦力外通告されてしまうと考えているとしたら、なんと冷たい職場でしょうか。

それが悲しいので、それまでに自分のポジションをしっかり築いて戻れる場所を作っておきたい、そんな気持ちの表れでしょう。大卒入社から10年超はバリバリと働かなければ、この彼女がヤル気があるからこその発言です。

もうひとつ別の問題があります。こちらのグラフをご覧ください。

【イキマネコラムvol.43】女性にしかないタイムリミットを知っておくべき
日々新しく作られる精子と違って、卵子は生まれた時に既に一生分が作られています。ですから卵子は年齢とともに老化の一途をたどり、40歳にもなると自然妊娠はかなり難しくなりす。男女ともにこの事実を知らない人はまだまだ多く、それが前述のような発言になるのです。今や晩婚化とともに不妊治療に頼るカップルは5組に1組と言われ、日本の少子化は止まりません。

日本の少子化問題なんてことは自分たちには関係ない、とお思いかもしれません。でも、ヤル気のある女性ほど晩婚になり、不妊治療をする率が高まります。そうすると、会社を休みがちになり精神的にも不安定になり業務に支障が出るなど、それこそ御社にとっても損失です。

多くの女性が活躍できないのは、こんな風に自分のキャリアについて気持ちが揺れ動くからです。結婚はいつするのか、出産はできるのかなど、決められない未来と仕事との狭間で悩んでいます。そこを理解していないと、やる気がないなどと勘違いが起きてしまいます。

キャリアは一直線ではなく、多様な働き方やキャリアプランが選択できる職場づくりが重要です。たとえ育休を取ったとしても、復帰後も戦線に立てると言うメッセージを発信して、女性たちがもっと若いうちに安心してキャリアを中断することができるようにしてください。

また、2022年には男性の育休取得の促進が義務化されます。もちろん病気やけがで突然休むことは誰にでもあることですから、キャリアの中断は、決して女性だけの問題ではないことも認識ください。

 

👉今回のPOINT

1. 出産のタイムリミットは意外と早いことを知っておこう
2. キャリアの中断を恐れずにすむ職場づくりが重要
3. 女性が安心して働き活躍できる職場は、誰もが働きやすい職場でもある

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。