[結果発表] 第二回イクボス充実度アンケート調査

【イキマネコラムvol.34】<実例>売れる自信があるのに、分からずやの上司にいつも邪魔される

[公開日] [最終更新日]2020/11/14

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




今回のコラムでは、自らが提案する新製品を上司に受け入れてもらえないというジレンマを抱える女性の実例を取り上げ、組織における課題や上司の立場からどのように向き合えばよいかを解説します。

概要

  • Sさん:29歳、女性 独身実家暮らし
  • 健康器具メーカーで商品開発を担当。女性向けの新製品を思い付き提案するも、上司の理解がなかなかな得られない。自分自身が「こんなのがあったらいいのに」と思っているし、社内の女性たちも「絶対売れるよ」と言ってくれている。おじさん上司には「女の子の気持ち」が分からないんだろうけど、少しは任せてチャレンジさせてほしい。

Sさんの悩み

商品開発に異動して5年。医療用の大型の商品ばかりの中、もっと気軽に家で使えるものがあったらいいのにと、いつも考えている。今担当している製品(マッサージチェア)はいいものだけど、高いし大きいので個人ではなかなか買えない。腰痛に悩んでいる女性は多いので、もっと多くの人に使ってもらえるように、家の中で気軽に使えるカワイイ簡易版を作りたいと提案。でも上司は「そんなオモチャみたいなもので効果が出るのか」と否定的。「何台売れるのかデータで示せ」と言われたって、そんなもんわかるわけないでしょ。

 

さてここで気を付けるべき点は2つあります。マーケティング的な観点とマネジメント的な観点から見て行きましょう。

ひとつめのマーケティング的観点です。
まずはニーズをよく読むこと。この上司は「そんなオモチャみたいなもので効果は出ない」と端から否定していますが、若い女性たちが「そもそも効果を求めているのか?」が大事なところです。マッサージチェアとはこういうものであるべき、という自分の価値観だけで物事を見ていると先を見誤ります。若いから、女性だから、部下だから、そんな先入観は抜きにして、色んなアイディアには一応耳を傾ける、という視点が大事です。

ふたつめのマネジメント的観点としては、ただ否定するのではなくきちんと教育することです。
女性の感性が優れていたとしても、他人に理解できるように説明することは組織において大事なことです。やはり「絶対に売れる自信がある」ことを客観的に示さなければなりません。周囲へのヒアリングをまとめたりアンケートを取るなどで、本人の主観だけではないことを示すやり方を教えてあげてください。

ただし「何台売れるのか」は難しいでしょう。そこを言われては、新しいことにチャレンジする芽が摘まれてしまいます。

数字などのデータで物事を示すのが苦手な女性は多くいます。けれども、逆にだからこそ突拍子もないアイディアが出せたりもします。イノベーションが必要とされる今の時代、女性の感性に乗っかってみるのもひとつかも知れません。

実はこれにはオチがあって、何とか上司の了解をもらって売り出したところなんと大ヒットし、今やこの会社の屋台骨になっているという話です。

大ヒットしたのは【ルルドマッサージクッション】という商品で、今や販売累計1000万台を超す大ヒット商品です(2019年現在)。

 

👉今回のPOINT

1.自分の価値観が絶対という意識は捨てよう
2.女性にも客観的なデータで他人に理解してもらう訓練を
3.女性の感性に任せてみることも大事

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。