[結果発表] 第二回イクボス充実度アンケート調査

【イキマネコラムvol.33】<実例>数字のことしか言わない上司にうんざりする

[公開日] [最終更新日]2020/10/26

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




今回のコラムでは、売上第一の会社の方針に疑問を持つ女性の実例を取り上げ、組織における課題や上司の立場からどのように向き合えばよいかを解説します。

概要

  • Tさん:29歳、女性 独身一人暮らし
  • 飲食店のポータルサイトを運営する会社の営業。3年前に印刷会社の事務から転職。飲食店経営に興味があり、店主たちのお役に立ちたいと、今の仕事を選んだ。営業はやりがいもあるし楽しいのだが、会社のやり方に色々と疑問を感じている。

Tさんの悩み

3年前に転職。学生の時に長く個人経営の飲食店でアルバイトをしていたこともあり、経営者の悩みに触れることも多かった。ポータルサイトの営業募集を見て「これだ!」と思い新しい業界に飛び込んだ。営業自体は楽しく、外回りもまったく苦にならない。店主たちのお役に立てた時の嬉しさは何にも代えがたい。ただ、最近会社の業績がいまひとつで、上司は売上目標の数字ばかりを言ってくる。会社は次々と新しいサービスを打ち立ててきて、しょっちゅう提案しないといけない現場の身にもなってほしい。お店にとって本当にメリットかどうか疑わしくても、上司からは売って来いと言われてモチベーションが下がる。お店の信頼をなくしそうで怖い。

 

男女関係ない悩みのようですが、女性ならではの特徴が2点あります。

そのひとつ目は、数値目標に対する意識です。数字の目標をクリアする、そのこと自体にある種喜びを感じられる人間と、数字そのものに意識が向きにくい人間といます。後者は女性に非常に多く、数字の目標だけを掲げられてもなかなかモチベーションが上がりません。そこで、女性にはその数字の意味をしっかり伝えてください。なぜその数字なのか、その数字を上げることがどこにどう繋がるのか、そのストーリーが見えてくると、女性たちも意味づけができ頑張れるのです。もちろん、それは男性も同じことなのですが、女性には特に意識していただきたいところです。

もうひとつは、お客様に対する貢献意識と正義感です。これは半歩譲ってほしいと思います。女性は「顧客への貢献度」「相手からの感謝」など、人間性を感じられると俄然頑張れます。これはある意味大事なことですし、長い目で見たら顧客との関係性がよくなりひいては営業にも結び付くことです。もちろんビジネスですから、甘いことばかり言っていられないのも分かります。自分たちの目の前の売り上げのためには多少目をつむることも必要でしょう。だから「半歩」です。どちらの言い分も正しいのですが、その時々で優位性は変わります。たまに立ち止まって振り返るためにも、彼女たちの正義感をないがしろにしないでいただきたいものです。

そして女性たちには、「そんな甘いこと」と否定するのではなく、今優先すべきが何なのかをきちんと説明してあげてください。それと、そのサービスは本当に顧客のためになるのかという、彼女たちの声にも真摯に耳を傾けてください。

過去にこんなコラムも書きました。あわせてぜひご覧ください。

🔗【イキマネコラムvol.11】売上の数値目標を立てない方が売上が上がる!?

 

👉今回のPOINT

1.女性は数値目標だけでモチベーションは上がらない
2.数字をクリアする意味、ストーリーを見せる
3.今優先すべきが「売上」か「貢献」かを納得させる

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。