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【イキマネコラムvol.14】女性たちが目を輝かせて「私、管理職になります」と言うには?

[公開日] [最終更新日]2020/07/09

【イキマネコラムvol.14】女性たちが目を輝かせて「私、管理職になります」と言うには?

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




政府は2020年までに女性の管理職比率を30%にすると言っていますが、いまだ半分にも満たない状況が続いています。

「会社は増やそうと思っているのに、女性がやりたがらないんだよ」という声も聞こえてきそうです。

多くの女性たちは、なぜ管理職になりたがらないのでしょうか?


 

ひとつには、先の見えない分かれ道がたくさんあるため、エネルギーを注げないということがあります。これは2回目のコラムでもお伝えした「8つのキャリアコース」を参照ください。

🔗【イキマネコラムvol.2】「女性にもっと活躍してほしい」経営者のホンネと働く女性の実情

 

もうひとつは、ヒエラルキーを上がっていくことに特に魅力を感じないため、出世欲が薄いということがあります。

女性は横並び意識が強いですから、出る杭になることを嫌いますし、また、上に立ってマネジメントするということにも、喜びが見い出せないのです。

 

先日20代の女性に同じ質問をしてみたのですが、「出世するなんて、そんなにガツガツしたくないんです」と言われました。

そんな時私がいつも話すことがあります。

大抵の場合、目の輝きが増して「なるほど」と思ってくれるようです。

「管理職になるということは、裁量権が持てるということ。これまでは上司の命令や決済がないと動けなかったことも、自分で決められるようになる。もし、女性としてやりにくいとか変だなと思っていたことがあれば、それを変える権力が持てる。自分で決められる仕事は楽しいよ」と。

 

管理職に興味がある人に理由を尋ねると、男性では「給与を上げたいから」がトップなのに対して、女性では「自分を成長させたいから」がトップ、2位の「給与」と僅差で「仕事の幅を広げたい」が3位となっています。


 

つまり、自分自身のメリットを感じることができれば、管理職への興味が湧いてくるのです。

「組織の中では上に上がることが当たり前」などという話には全く耳を貸さない女性たちも、自分にどんなメリットがあるかが分かれば、チャレンジしようという気持ちへ変わっていきます。

 

自分自身のメリットという点から、私がもうひとつ話すことがあります。

それは、「管理職になることで身につけられるスキルは、あなたが豊かに賢く生きる糧となるものであり、どんな時代、どんな環境、何歳になっても通用するエンプロイアビリティなもの。あなたの価値を高めて魅力的な人間となるためのものだ」と。

より具体的に、
  • プライベートで起きる様々な問題を解決する能力
  • 円滑な人間関係をつくる
  • コミュニティでのマネジメント手法の応用
  • パートナーの仕事への理解が深まる
  • 子どもへの生き方のロールモデルを示すことができる
などを伝えると、さらに目の輝きが増してきます。

 

男性と違って、まだまだ目の前にロールモデルが少ない女性たちは、自分が管理職になった絵を描きにくい環境にあります(男性はあらゆるタイプの見本がいますが)。

特に古い体質の会社であれば、今いる女性管理職の方々はどちらかというと「男性化」したことで階段を上って行った可能性があります。するとますます、「あんな風にはなりたくない」と管理職になることを躊躇してしまうのです。

これからの女性管理職に求められることは、男性と同質化することではなく、男性とは異質の感性を活かすこと、新しい視点や新しい価値観を示すことも大切だということも、ぜひ付け加えてお話しください。

 

ところで、こうした関係の話をしていて最近気付いたことがあります。

それは、男性は順番にクリアするとか、シリーズを克服するのがお好きなようですが、女性にその発想はほとんどないなということ。これが管理職というラインを上るかどうかにも影響している気がするのです。

 

以前、トヨタのプリウスが発売さればかりの頃、何人ものディーラーの方が同じことを口にしたのですが、その意味が当時の私にはさっぱり分かりませんでした。

「次がないから売りにくいんだよねぇ」

最近やっと「なるほど」と意味が分かってきました。

男性はそのシリーズを少しずつ上っていきたいのだと。大衆車から○○へ、次は△△へ、そしていつかはクラウンへと。発売されたばかりのプリウスは、まだシリーズ化されておらず1種のみ。次がないとワクワク感が薄れるという意味だったのでしょう。

 

この発想は女性には全くありません。プリウスの次はプリウスの上位車種だなんて、考えたこともありません。その時の気分で決めますから、同じメーカーかどうかさえ怪しいです。

そんな違いも、観察していると楽しくなってきます。

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。