『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。
ここにひとつの調査結果があります。
働く女性に聞いたアンケートです。
「男性上司の指示が理解できないことがあるか?」という問いに対して、「よくある」、「たまにある」という回答を合計すると、約7割以上のOLが、男性上司の指示を理解できない経験をしていることが分かります。

これは由々しき問題ではないでしょうか。業務上のトラブルにもなりかねません。
明らかに上司の指示が明瞭でない場合はともかく、その他にも原因があるように思います。
ひとつは、「伝えた」つもりが「伝わっていない」ということ、もうひとつは、理解していないことを言い出せない雰囲気を作っていることです。
まずは、”以心伝心”を期待することをやめてみましょう。
「伝えた」ことと「伝わった」ことは違います。ちゃんと伝わっているのかどうか、相手の表情をよく見てみてください。
質問したそうな顔をしていれば、いったん話を区切って、「何か聞きたいことはあるか?」上司から質問してみてください。
指示を終えたら、部下に改めて説明させてみるのもいいでしょう。分かっている気でいても、説明のために言語化してみると、理解できていない部分が明確になります。
ここまで読んで「それって、別に男女で違わないだろう」と思われましたか?
そうです、別に男女関係なく使えることです。
ただ、ひとつ感じていただきたいことがあります。
これを「相手の理解度が低いから」と思っていないかということです。
「女性は理解度が低いから自分が合わせてやっている」と思い込んでいませんか?
これまでも様々な男女の違いをお伝えしてきましたが、それらは全て優劣ではなく差異です。
「指示が伝わらない」のも、この差異によるものがあるかも知れない、というところに心を馳せていただきたいのです。
もしこれが女性部下ではなく、外国人部下だったらどうでしょう?
文化の違いからくる様々なミスコミュニケーションがあることを想定し、ひとつずつ丁寧に分かるまで伝えようとするのではないでしょうか。
女性部下にも同じように接してみてください。異文化コミュニケーションだと思って接すれば、日本語が話せるだけ随分と楽なはずです。
そうやって練習してみると、実は新人男性とのコミュニケーションも上手くいくようになります。
結局は、どんな人も自分の価値観とは異なっているということを認識することが、全てのコミュニケーションをスムーズにすることにつながります。
これまでの「男性モノクロ」の社会で生きていた時代は、あ・うんの呼吸で伝わっていたこともあるかも知れません。
「女はめんどくさい」を脱することが、カラーバリエーションのある多様性を受け入れることにもつながるのです。
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このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。
そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。
<阿部博美・プロフィール>

株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。
自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。