『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。
今や国民的アイドル『AKB48』のプロデューサーである秋元康さんのインタビューをテレビで見ていた時、そのマネジメント能力に関心したことがあります。
「あの大勢の女子たちをまとめるのにどうしているのか?」という質問に対して、こう答えていました。
「常に全員に声をかけるようにしている。どんなに小さなことでもいいから、良かったところを見つけて。そのためには一人ひとりを観察しないといけないので、全員をモレなく見るようにしている」と。
女性マネジメントでは『フェアとケア』がとても重要です。
秋元さんの「一人ずつに声をかける」ことと「小さなことを褒める」ことはまさにドンピシャで、女性のモチベーションアップにとても効果的です。
まずは「一人ずつに声をかける」について。
女性は平等意識が強く働きますので、「えこひいき」なんてもってのほか。誰にでもフェアな態度をとる上司を好みます。
そんなこと、誰でもそうだろうと思うでしょうが、逆の場合の反発が女性の場合とてつもなく大きいですからご用心を。
ちなみに全員にモレなく声をかけるのは大変ですよね。でも、コストゼロで業務に与える功績は大きいのですから、意識してやってみてください。
そうやって日々声をかけられていると、ほったらかしにされていない=見守られている、という安心感につながり、女性たちはさらに業務に邁進することができます。
任せた業務についても「うまく進んでるか?何か困ったことはないか?」と、時々気にかけているオーラを出してあげてください。
これが『ケア』です。いつでもフォローがあるという態勢を見せることで、女性は安心してチャレンジできますし、また、そんな上司に対しては、しっかり成果を出して貢献したいと思うのです。
「任せてるんだから困った時は自分から相談するだろう」とか「報告は部下の方からしてくるべき」などと言いたい気持ちも分かりますが、ちょっと思い出してください。
女性マネジメントの理想は 3回目のコラムでも紹介した『イルカ型』でしたよね。一緒に泳ぎながら寄り添うコーチとは、このようなことなんです。
もうひとつの「小さなことを褒めるについて。
この「小さなこと」というのが、実は女性にはとても効果的です。でも、つい「こんな小さなことじゃなぁ」と、言葉を引っ込めてしまうこと、ありませんか?
それが案外逆で、小さなことだから効果的だったりします。大きな変化は誰もが気づくものですが、小さなことはよほどちゃんと見ていないと分からない。
ですから、秋元さんの「小さなほめ」に対して、女性たちは「それだけ自分のことを見てくれている」と察知し、そこに感動するのです。
男性はつい「大きなことはいいことだ」と思いがちです。でも女性は、誕生日に100本のバラを贈る男性よりも、毎日1本ずつ100日間バラを届けてくれる人の方が好きだったりします。
だって、一度に100本のバラは、その時の感動は大きくてもたった1日で終わってしまいますが、1本ずつだと毎日感動が続くのですから。
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このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。
そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。
<阿部博美・プロフィール>
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。
自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。