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【イキマネコラムvol.61】世界で一番手厚い日本の現状をご存じですか?

[公開日] [最終更新日]2022/03/11

【イキマネコラムvol.61】世界で一番手厚い日本の現状をご存じですか?

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




男性育休についての話題が続きますが、もう少しお付き合いください。
少し世界に目を向けてみると、新たに様々なことが見えてきます。

日本の男性の育休取得率は、近年上がりつつあるとは言えわずか5%、2019年の調査でも7.5%です。世界を見てみるといかに低いかがわかります。グラフにはありませんが、フランスでは2022年7月より男性育休が義務化され100%となる見通しです。

(出典:データのじかん

 

取得率の低さは制度整備に問題あるのかと思いきや、実はそうではありません。日本の制度自体は、なんと世界で一番手厚いのです。このことはあまり知られていないのではないでしょうか。


国がいくら制度を作っても、使うかどうかは本人次第です。育休を取得しなかった理由を聞いてみると、職場への配慮が目につきます。ふだんの有休についても「罪悪感を持つ」率が世界一の日本人らしいと言えます。

(出典:データのじかん

 

「会社で育休制度が整備されていなかった」という理由は本来あり得ず、法で権利が認められていることを認識していない、つまり会社側の告知が不足しているということでしょう。

さて、職場に配慮してなかなか休みたいと言えない日本人ですが、本当に迷惑なのでしょうか。だらだらと仕事をしていて非効率、ワンオペの妻がイライラして家庭内が不穏になり仕事に身が入らない、などの弊害はないのでしょうか。

こちらは各国の生産性を比較したグラフです。先のグラフにあった、男性育休取得率が日本と比べ物にならないくらい高い、ノルウェー、スウェーデン、ドイツ、そしてフランスともに、生産性は日本をはるかにしのいでいます。

(出典:総務省HPよりOECD加盟国の時間当たり労働生産性比較)

 

ヨーロッパの国ではバカンスを取る習慣がありますから、長期で休むノウハウを持っていることも大きいかも知れません。とはいえ、それが生産性アップにつながるのだとしたら、日本でも早々にノウハウを溜めていく必要があります。業務以外の視野を広めることが新しいアイディアに繋がったり、日々臨機応変さが求められる子育て経験すが、生産性アップにもなるというデータも出ています。

 

こんな話を耳にしました。

ある男性が、育休を前に上司から『しっかり根回ししておけよ』と言われたそうです。その話を聞いたフランス人は みんな驚きました。だってそれは彼の仕事ではなくマネジャーである上司の仕事。休むのは与えられた権利であって、人員や仕事の配置をするのは彼の仕事じゃないでしょう、と。

 

👉今回のPOINT

1.男性の育休取得率は7.5%と世界最低ランク
2.国の男性育休についての制度は世界一手厚い
3.育休が取れる職場にするのは上司の責務

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。