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【イキマネコラムvol.54】そのデフォルトを変えると企業が成長するでしょう

[公開日] [最終更新日]2021/11/25

【イキマネコラムvol.54】そのデフォルトを変えると企業が成長するでしょう

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




「今は昔と違って『右向け右』とはなりませんから難しいですね」

ある企業の社長とマネジメントについて話をしていたときの発言です。これに、私はとても違和感を感じました。

最近の若い社員たちとは価値観が違ってきていて、これまでならヒエラルキーの中で上の命令に従うのが当たり前だったのに、今や単純にいかなくなり大変だ、と言いたかったのでしょう。もちろんそれは分かります。

私が違和感を持ったのはそこではありません。「これまでは命令すれば従っていた」と思っている、そこに違和感があったのです。

そこで私はこう答えました。
「そうでしょうか、私は特に難しいとは思いません。そもそも女性たちは『右向け右』とはなりませんから、最初からその前提はありません。若い社員も女性のマネジメントと同じですね」と。

社長は驚いた顔で「なるほど、デフォルトがもう違ってるんですね」と即理解してくださいました。


女性たちにはヒエラルキーの概念がほとんどありません。上から命令されても、自分で納得できなければテコでも動かないのはそのためです。これまでそのことに気づかなかったとしたら、それは女性たちが従うフリをしていたからか、もしくは一人ひとりときちんと向き合ってマネジメントしてこなかったからでしょう。

同じものを大量に生産する、もしくは同じことを繰り返すこれまでの時代は、経験豊富なボスの命令に部下が従うことで効率よく物事は進んでいました。けれども今は違います。新しいアイディアや他社とは違う個性が求められる、ボスも経験したことのない時代なのです。

ボスは命令するのではなく、多様な価値観をいかに引き出しまとめていくかが問われています。つまり「右向け右」と命令するのではなく、「右を向くにはどうする?」と部下に問いかけ、考えさせるマネジメントが必要なのです。

 

他の似たような場面で、こんな風に言う方もいらっしゃいました。

「若い世代の教育セミナーを受講すると、いつも歩み寄るように言われる。そうすることで、昭和世代が階段を30歩ぐらい下りて低パフォーマンスになったとしても」(うまいこと言いますね)

変化の境目でいったんパフォーマンスが下がることは仕方ありません。そこを乗り越えなければ変革は起きませんから今は少々耐える時です。ジャンプするにはしゃがんだ方が高く飛べるのと同じですね。

ただ、気づいてほしいことがあります。それは、逆の立場から見た景色のことです。これまで女性たちが、違和感あるマネジメントに我慢して歩み寄っていたこと。マイノリティのである女性たちの気持ちを、誰も考えてこなかったことです。そのために高いパフォーマンスが発揮できなかったかも知れないことです。常に自分の側が正しくて他はこちらに合わせるべきと考えているとしたら、少々傲慢ではないでしょうか。

昭和世代がデフォルトを変えることで、女性もZ世代の若い社員たちもイキイキと仕事ができるようになるとしたら、全体としていいですよね。会社の成長も見込め皆がハッピーになると思いませんか?

そして、小さな声で言いますが驚かないでくださいね。

これまで常にマジョリティとして生きてきたであろう昭和のオジサンたちは、残念ながら今やマイノリティです。半数を占める女性と若い社員を足すと、すでにオジサンの数を越しています。マイノリティである以上、マジョリティ側に多少歩み寄ることは、、、当然ですね。

 

👉今回のPOINT

1.命令ではなく問いかけて引き出すマネジメントが必要
2.すでに昭和世代の価値観はデフォルトではない
3.これまでの経験が通用しない時代は、全員の対話で新しいものが生まれる

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。