[結果発表] 第二回イクボス充実度アンケート調査

【イキマネコラムvol.53】女性のライフイベントとキャリア形成について真剣に考えて欲しい

[公開日] [最終更新日]2021/11/12

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




ある日、美容室で雑誌を読んでいた私は、ある記事に目が釘付けになりました。それは一般女性(48歳)が、自身のキャリアについて語っている記事でした。

”結婚したら二度と恋愛できないし、仕事でチャレンジしにくくなる。だから、結婚は35歳以降でいいし、40歳で子どもを産むくらいがちょうどいい。そう思っていました。”

ちょ、ちょっと待って!と思わず叫びたくなりました。と共に、これが女性たちのヘルスリテラシーの現実なのだと思い知らされました。


女性は生まれた時から一生分の卵子を抱えています。ですから年齢が上がるとともに当然卵子は老化していき、若返ることはありません。老化すると妊娠しにくくなり、妊娠経験がなければ、40歳での自然妊娠率は0%なのです。

実は、女性が生理や妊娠について学ぶ機会はほとんどありません。異世代の人との交流も少なく、情報はネットに溢れるものの、興味がなければ取りに行くこともないので、リテラシーは驚くほど低くなります。

芸能人が出産したニュースをよく目にしますが、40歳を過ぎた人も多くみられます。野田聖子議員に至っては50歳で出産しています。こういうニュースばかり見ていると、何歳になっても埋めるのだと勘違いする人が出てきても仕方ありません。

けれども、40歳過ぎの自然妊娠は非常に確率が低いですから、おそらく皆さん不妊治療をしているのだと思われます。一般人でも、今や5組に1組のカップルが不妊治療をしていると言われています。

ただし、不妊治療は非常にお金と時間がかかります。通院は身体との相談なので、○日○時とスケジュール通りにはなかなか行きません。そのため業務に支障が出ることになり、退職する人も2割ほど出てきます。会社にとっても大変な損失です。

つまりは、女性たちのヘルスリテラシーを上げることです。若年層のキャリア形成研修などをする場合に、「女性の健康」についての研修も入れることをおススメします。

 

もうひとつここには大きな問題が潜んでいます。それは前述の女性が「結婚したら仕事でチャレンジしにくくなる」と思い込んでいることです。社会が、会社が、そう思わせていることが問題です。その結果、多くの人たちが高齢出産に向かい、そして不妊治療に向かっているのです。会社の損失もですが、治療費の助成金を出すことになった政府にとっても大きな負担です。

女性たちが、仕事のために結婚や出産を遅らせることのないよう、柔軟な働き方ができる組織にしていく必要があるのではないでしょうか。また、結婚後も出産後も、活躍できる人を輩出していくことです。

その解決策として企業が取り組み始めたのが、女性たちの早期育成です。ある程度キャリアを積まないと復職後に席が無くなるのではという不安から、婚期を遅らせがちな女性たちのために、30歳前後に集中的に研修を積ませるというものです(幹部候補生が対象)。スキルが磨かれることに加えて、それだけ期待をしてもらっているという意識から、復職後のモチベーションアップにも繋がっているのだそうです。

 

👉今回のPOINT

1. 女性のヘルスリテラシーを高めることは企業の損失も防ぐことに
2. 結婚出産後の女性もチャレンジできる組織作りを
3. 若手女性社員の育成は男性よりもスピードアップを

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。