[結果発表] 第二回イクボス充実度アンケート調査

【イキマネコラムvol.46】女性は自分の能力を「低く」見積もる傾向があることを知っておく

[公開日] [最終更新日]2021/06/24

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




自分の能力や成果に関して、女性の方が男性よりも自信を持ちにくい傾向があります。


これは「インポスター症候群」と呼ばれるもので、日本だけでなく世界中で見られる傾向です。インポスターとは「詐欺師」の意味ですが、実際とは異なるという意味で使われています。

●社会心理学者ブレンダ・メイジャーは、男性は常に自分の能力とそれに伴う成果を過大評価し、女性は過少評価することを発見した。実際の成果は、男女とも質的にまったく変わらなかった

●コロンビア大学のビジネススクールでは、平均的な男性が、自分のパフォーマンスを実際よりも30%高く評価することを発見した

●ヒューレット・パッカードは、女性をもっと会社の経営陣にいれるためにはどうすべきかという研究を行った。その結果、自社で働く女性たちが社内における昇進の機会に応じるのは、その職務に対して能力的に100%の資格があると思う時だけだということがわかった。男性は、自分がその職務に必要な能力の60%しか満たしていないと思っても、喜んで昇進に応じるという

※【出典】なぜ女性は男性のように自信をもてないのか/キャティー・ケイ&クレア・シップマン著

 

ですから上司としては、このことを頭に入れて女性たちと接する必要があります。

例えば昇進の打診をしたとき、女性がしり込みをしたとしてもすぐに引き下がってはいけません。100%の自信がなくてもチャレンジしてみてほしいということ、そして常に後ろで支えてあげるから安心しろ、という言葉かけがとても大切です。

さらに私はいつも、加えて2つのことを伝えています。
「評価するのは自分ではない」ということと「イエスマンになれ」ということ。

「私にはムリです」と多くの女性が口にしますが、そんな時「評価は自分でするのではなくて、他人がするものだ」ということを伝えます。昇進を打診しているのは「あなたならできると確信しているから言っているのだ」と伝えると、かなりの確率で納得してくれます。それは言外に、「見立てたのは私の方なのだから、もちろん困ったら助けてあげる」というニュアンスが含まれていることも女性たちは感じ取るからです。

「イエスマン」というのは、2008年公開の映画のタイトルです。


「ノー」が口癖の人生に後ろ向きな主人公が、「どんな事に対しても『イエス』と答えることで人生が好転していくという物語です。これが単なる映画の中の話ではなく、原作者の実体験に基づいているというので、いつも紹介しています。

人の意識というのは慣れていくものです。イエスと言っているうちに、だんだん『イエス』に抵抗がなくなっていくものです。それから、打診する際は重苦しく話さずに、明るく元気が出るような声掛けをしていくこともお忘れなく。「やってみます」と軽く返事ができる演出も大切です。

 

👉今回のPOINT

1. 女性の方が男性よりも自信をもちにくいが、能力は全く変わらない
2. インポスター症候群を頭に入れて接する
3. 手を差し伸べ背中を押すことを怠らない

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。