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【イキマネコラムvol.24】育休から復帰した女性にかける言葉次第で陥る『マミートラック』にご注意を

[公開日] [最終更新日]2020/07/09

【イキマネコラムvol.24】育休から復帰した女性にかける言葉次第で陥る『マミートラック』にご注意を

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




出産後職場復帰してきた女性に対して、「無理せずゆっくりでいいよ」と声かけたくなりますよね。身体的にも精神的にも負担がかからないように配慮してあげたいと思うのは当然です。
ところが善意でかたけ言葉が、人によっては『マミートラック』に陥ることになることがありますので注意が必要です。

まずは『マミートラック』の正しい意味を知っておきましょう。

マミートラックとは「子育てと仕事を両立する女性のために、業務の量や時間に配慮した働き方」を表す言葉で、1988年にアメリカで生まれた新しい考え方です。本来はポジティブな意味だったのですが、近頃では「育児休暇から復職しても単調な雑務しか任されなくなり、昇進・昇格の道から外されてしまう」という、ネガティブな意味の言葉として使われることが多くなっています。

マミーは母、トラックは陸上競技で走る周回コースのことを意味します。マミートラックは一度乗ってしまうと何周も同じ周回をグルグル周り抜け出せない働き方を表現し、対義語的に使われている「ファスト・トラック(fast track)」は出世コースとして用いられています。

 

マミートラックが問題になるのは、上司の思い込みと女性とのコミュニケーション不足が大きな原因です。子育ては大変だろうという善意の気遣いから、女性の意思を確認せずに責任の軽い業務への異動を決めてしまうと、もし彼女が「復帰したからにはバリバリ働きたい」と思っていた場合には、モチベーションの低下につながってしまいます。

善意の気遣いが生まれる背景には「育児は女性が行うものである」「女性は子どもを産んだら家庭を重視すべきである」という会社全体、ひいては日本全体に根強く残る無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)が存在していることにまず気づいてください。また、この気遣いは子どもが生まれた男性にもかけてあげるものではないかと考えてみてください。

 

もちろん女性の中にも、マミートラックに乗りたくない人がいれば乗りたい人もいますから、個別にしっかりと意思を確認することが何より大切です。「育児を優先したいので家計の助けになる程度で」という人もいれば、「育児は夫や両親に任せて自分はバリバリ働きたい」という人もいます。

前者にとってのマミートラックは非常に助かる施策となりますが、後者にとってのマミートラックは理不尽な左遷となってしまいます。それぞれに合わせたキャリアコースを準備してあげることが上司の役割です。

 

また、この意思確認は定期的に行ってください。子どもの成長や家庭環境などによって状況は刻々と変わります。復帰直後はバリバリやりたいと言っていても、状況が許さなくなる場合もあれば、家庭優先にしたいと思っていた人が、仕事を渇望するようになったりすることも珍しくありません。

「今何が仕事の障壁になっているのか」「今後どのようなキャリアを築いていきたいのか」を確認して、社員一人ひとりと向き合う姿勢が大切です。

 

私の派遣時代にこんなことがありました。派遣先と相思相愛のスタッフが出産することになり、産休育休の後に必ず復帰するという約束をして休みに入ってもらいました。その間別のスタッフを穴埋めという条件で派遣し、派遣先の上司も復帰を今か今かと待ちわびていました。

ところが、出産した彼女は子育てに夢中で仕事への情熱がすっかりなくなってしまったと言い、結局は復帰せずに辞めてしまいました。まったく想像もしていなかったことだったので、派遣先も私も呆然としたことを覚えています。

人の心はいろいろです。想像は自分の知見を超えることはなく、常に必ず本人から意思を聞き取ることが大事と、強く肝に銘じた出来事でした。

 

👉今回のPOINT

1.「育児は女性が行うもの」というアンコンシャスバイアスがないか自問してみる
2. マミートラックに対する本人の意向を必ず確認する
3. 定期的にヒアリングをすることで社員一人ひとりのキャリアコースとしっかり向き合う

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。