[結果発表] 第二回イクボス充実度アンケート調査

【イキマネコラムvol.19】評価レースから戦力外通告されたと感じる女性の嘆き

[公開日] [最終更新日]2020/07/09

『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、ハピレボプロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。

 




女性が本当に活躍できる組織とはどんなものでしょうか?

先日、2人目のお子さんを出産して時短勤務中の女性と話している時に、こんな話を聞きました。

上司が部下を評価するとき、時間の量で評価するのはやめてほしい。時短で働いている今、量で評価されると絶対に男性に太刀打ちできない。そうなるともう自分は評価レースから外されたようで、モチベーションが下がりっぱなし。

『評価レースから外された』という心境になったとき、どんな気持ちになるか想像してみてください。左遷、降格、不本意な出向など、サラリーマンなら想像は難くないと思います。彼女の発言からは、時短であるというだけで期待されなくなることに対する深い悲しみと怒りが伝わってきました。

時間は短くても、以前とほぼ変わらない仕事量をこなしているという彼女。ということは、手のかかる子どもを2人も育てながらも、120%の力を出しているスーパーウーマンです。ところがその凝縮度はなかなか評価されず、どうしても早く帰るというマイナス点に目が向かうらしいのです。評価される男性を見るたびに、「私だって時間があればできるのに!」と歯がゆい思いをしていると言います。

いくら働き方改革や生産性が謳われていても、やはりまだ長時間労働をを称賛してしまう意識から抜け出せない現場は多いようです。けれどもそれは、女性だけでなく男性にとっても不幸なことではないでしょうか。多様な働き方が増えてきているのですから、評価軸もそれぞれの質を問うものに変えていく必要があります。

また、女性の成長を長いスパンで見てほしいとも思います。育児休業などで途中キャリアが途切れたり成長スピードが遅くなったりすることもあります。けれど、子どもの成長とともに必ずまた仕事に精力を注げる時がやってきます。そこまで見越して一時期の中断には目をつむってほしいのです。(男性の育休が進まない理由もここにあるかと)

子育て女性が活躍している組織では様々な手厚いサポートがありますが、それは決して福利厚生的な意味ではなく経営戦略だと言い切ります。そしてそれを受けた女性の側も「こんなに手厚くサポートしてもらえたのだから、徐々に本格復帰してフルで働けるようになったら必ず恩返しをする」と口々に言っています。結果組織は、一時期少しだけしゃがんだとしても次に大きくジャンプすることができるのです。

前述の彼女は女性ばかりの職場のリーダー職です。リーダーの怒りや諦めは、部下の女性たちにも敏感に伝わります。すると職場全体のモチベーションが下がり、それだけではなく、独身女性たちの中には離職する人も現れ始めてきています。こうなってはもう負のスパイラルです。組織の成長のためにも多様性への意識改革が求められています。

女性の活躍はダイバーシティの入り口です。今や育児休業を取りたいという男性も増えてきていますし、皆さんもいつ介護との両立が必要になるかわかりません。「女性のため」の意識改革ではなく「ジブンゴト」として真剣に向き合ってみてはいかがでしょうか。

 

👉今回のPOINT

1. 量の評価から質の評価へ、ひとつの物差しで測らない
2. 女性の成長は一定の速度で進まないことを認識
3. 女性活躍推進は、福利厚生ではなく経営戦略

 

 

このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。

そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。

 




<阿部博美・プロフィール>

阿部博美
株式会社オフィスat 専務取締役/ハピレボプロデューサー。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。

自称「女ゴコロ翻訳家」。男女の本能からくる意識や行動の違いを、様々な具体的場面に落とし込み、お互いの理解を深め相乗効果を上げることを目指す。企業活動の中では、女性客の本音を翻訳しマーケティング設計に繋げ、組織の中では、お互いの強みを活かし合える風土づくりに繋げている。
現在、女性目線を専門とするマーケティング会社を経営。商品やサービスについてはもちろん、近年は採用ブランディングや女性活躍推進の相談を多く受けている。それらの中で、女性社員や外部の主婦など、女性チームをマネジメントする場も多い。新卒から15年間携わった人材派遣業界での女性マネジメントや、派遣先企業と派遣スタッフとの間での翻訳経験が非常に役立っている。