[結果発表] 第二回イクボス充実度アンケート調査

【第36回】麻生有花さん|スタイルクリエイト(株) 代表取締役

[公開日] [最終更新日]2020/06/13

“女性に、輝き続ける人生を”


今回のイクボスインタビューはブライダル・アニバーサリー、ファッション、教育事業を展開するスタイルクリエイトの代表取締役・麻生有花さんです。女性の多様な働き方を支援し、4月からは内閣府の企業主導型保育事業を活用した保育園を設置します。自身も12歳と4歳の子供を育てる母であり、子育て女性が働く大変さを分かっているからこそ、社員一人一人への配慮も行き届いているようです。

女性が働きやすい企業へ

―子育てなどで時間制約のある社員へ配慮をするようになったきっかけは?

麻生:もともとは私が仕事と子育ての両立が大変だったからです。長女が生まれてすぐ起業したのですが、シングルマザーだったので大変苦労しました。
ずさんな託児所もたくさん見てきた経験から、今回保育園を作りました。いずれ実現したいと思っていたのですが、より具体的になったのは3人の子供を育てているスタッフがきっかけです。彼女のようにバイタリティーがあると、「もっと働きたい」と思う。でも時間の制約があり、なかなか思うように働けません。彼女のような女性達がもっと働きやすい企業にするために、できることは何か?考えたのです。

―具体的にどのような配慮を?

麻生:短時間でも能力を発揮できる仕組み作りです。子育てママが面接で「短時間で働くところがない」とよく言います。4時間しか働けない中で、仕事をするには自分が今まで経験したことのない飲食店のランチタイムのアルバイトやスーパーのレジ打ちしかないのです。

でも本当はもっとスキルや経験を生かせるような仕事があるわけですよね。だから人によって短い時間で働ける体制を作り、時給じゃなくて業務や成果によって給料を払うようにしたのです。短時間勤務の社員は、チーム制でやっています。子供の病気で出社できない時は、常に代わりのきく体制をとっています。

―このような配慮が企業経営にプラスの影響をもたらしましたか?

麻生:スキルを生かしたいと思う優秀な人材が集まってきています。くすぶっている自分がいて、このまま育児だけで終わりたくないと思う女性が、長く働けると思ってくれるのでありがたいです。女性は学歴よりも何よりも意欲だと思います。小遣い稼ぎじゃなく、プラスアルファ、やりがいがほしいと思う女性に活躍してもらいたいです。

―イクボス10箇条で実践していることは何ですか?

麻生:ほとんど実践していることのようです。特に「理解」ですね。私のようにシングルマザーで働かざるを得ない状況とずっと主婦をやってきた女性とは違うかもしれないですが、子供に対しての思いはみな同じなので、気持ちをどこまで理解できるかを考えています。あとは「家族あってのあなただから、家族といる時間を大切にしてください」という話をしています。

―当てはまらないものはありましたか?

麻生:「時間捻出」はまだまだ課題です。自分に余裕がなくなっています(笑)

―ワークライフバランスのポイントは?

麻生:オンとオフだと思います。子供といるときは仕事を忘れる努力をしています。子供の話は上の空で聞かないとか、ちょっとしたことなのですけど、お風呂に一緒に入ったりして、毎日10分でも15分でもしっかり向き合うようにしています。

私は休みの日も関係なく仕事してきました。ところが子供のために時間をとるようになると、働くママにとっての週末の貴重さが分かるようになります。社員には家族との時間を大切にしてもらいたいから、土日は緊急のことがない限り電話はしないでと、伝えています。一定の距離感がないと月曜からまた頑張ろうと思えないですからね。

女性が働くと経済が変る

―働き方改革に関心を寄せる経営者へメッセージをお願いします。

麻生:女性が働き出すと経済は変ります。優秀な女性が多数眠っているので、男性経営者は頭を少しスポンジにして、潜在的な女性の力に目を向けていただきたいと思います。私は隙間を見つけるのが好き。“できない”っていうけど、“じゃあできるためにはどうすればいいのか”を考えます。そこからの発想でいいものが生まれたりする。

今回の保育園設置もそうでした。社員がやむを得ず連れてくる子供で会議室がいっぱいになったとき、これを限界とするのではなく、もっと先に何かあるのかを考えたのです。

―イクボスとして今後目指すところを教えてください。

麻生:企業理念の通り、輝き続ける女性を作っていきたいです。輝き方は人それぞれ違うので。そんな女性の活躍を応援できる企業になっていけばいいなと思います。

―どのような職場環境を目指しますか?

麻生:透明度の高い企業にしたい。いろんな事業を展開していますが、部署が違ってもみんなでアイデアを出し合える環境作りを大事にしていかなければならないと痛感しています。

幼稚園ママも能力発揮できる、柔軟な働き方

―スタッフの馬場綾子さんに伺います。現在の働き方を教えてください。

馬場:8歳の娘、6歳の息子、4歳の娘の3人の子どもを育てています。長男と次女の幼稚園が違うので、午後2時と2時半にお迎えに行かなければならない。時間的制約があるということを麻生さんにお話したところ、今月やることと目標を週で割って、タイムスケジュールにしてやっていこうということになりました。

効率的に業務を進めるために、基本は在宅勤務です。企画書の作成を担う営業事務としてスタートしましたが、現在は法人営業も担当しています。ですからアポイントがある日は、自宅から企業を訪問します。出社する日は限られているので、目標に対してどこまで進捗しているかを1週間に一度報告するスタイルで働かせてもらっています。

もともと大学卒業後は広告代理店の営業をしていました。10年のブランクがあって不安もありましたが、以前の経験を活かしたいと当社では初の法人営業を担当させてもらうことになりました。幼稚園のお迎え時間等の制約で、営業に支障がないか躊躇する想いもありましたが、友人を頼ったり、園の延長保育を活用しても対応できない時間帯の交渉時には「お子さん達、会社に連れてきていいよ」って言ってもらえました。子育て中の私を丸ごと受け入れてくれる麻生さんがいたから、ここまでできていると思います。

―麻生さんはどのようなボスですか?

馬場:発想が面白いし、信念のある人です。話をしていてもぶれていかない。一つの信念に基づいて仕事が広がっていくのが面白いです。広がりすぎても軸がしっかりしていらっしゃるので軌道修正ができる。そういった点は非常にやりやすいですね。

また限られた時間でやっているので、オーバーワークになってしまったら、無駄だねって言ってくれます。なにが得られるのか、利益はどのくらいなのかを常に気にして、仕事の優先順位を考えてくれます。

―働き始めて自分の気持ちの変化は?

馬場:仕事が好きなので、うちに帰っても仕事をしてしまいます。子供と遊んでいても仕事のことが頭から離れない。仕事と家事の切り替えが課題です。
ただ、主人のストレスは減ったと思います。私自身にストレスがたまると「お父さんはいいよね、楽しい仕事をして認められて、お給料までもらえて、うちに帰れば子供に癒やされるなんて、ほんとにいいよね」と嫌みっぽく言っていました。今は仕事のことでアドバイスがしあえる関係が主人にとっては楽みたいです。


(麻生さんとインタビュワーの田中と記念写真)

麻生さん、馬場さんありがとうございました。




既存の仕組みにとらわれず、コミュニケーションをとった上で、一人一人の適正を見いだし、働き方を提案する。育児をしながらも自分らしく働き続けられる同社は多様な人材が集まり、多岐にわたる事業展開に期待できそうです。

〈企業情報〉
  • 企業名:スタイルクリエイト株式会社
  • 業種:サービス業
  • 事業概要:女性の活躍を応援する「ブライダル・アニバーサリー事業」「アパレルEC事業」「スクール・コンサルティング事業」「託児事業」の4事業を展開。
  • 従業員数:4人(女性)
  • 本社所在地:福岡県福岡市中央区
  • URL:http://www.stylecreate.jp/